「ヤクザが災害支援活動」英文記事の和訳・お詫び (原文は3月18日掲載)

この記事は米国のオンライン・ニュース・サイト「The Daily Beast」で18日(米国時間)掲載されたもので、本来英文のみでした。一部の日本の報道機関が同記事を部分的に翻訳したため、誤解も招きました。それを予想して同時に和訳を出すべきで、お詫びします。一番下記の翻訳がもっとも原文に近いものです。ニュースサイト「Daily News Agency」の立派な和訳を元にやや修正しているものです。感謝しています。

この記事では、山口組関係者から別の暴力団の情報も聞いて書いたため、不適切な記載もありました。山口組関係者が細かいことを教えたが、下心があったようです。暴力団の権力闘争に利用されたのが気持ちよくないのです。やっぱり、義侠心に燃えているヤクザもいれば、情報作戦に燃えている人もいます。この記事は特ダネでもないのです。週間大衆にも同様な記事が出ています。

なお、この記事が出た影響で、当局に、各暴力団(任侠団体)に対して災害支援活動を控えるよう求められているのが極めて残念で、予想外でした。人が苦しんでいる時には援助の手を差し伸べようとする人間の活動を阻止する考えがさっぱり、わかりません。その人間は暴力団の構成員だろうが、左翼だろうが、右翼だろうが、外国人だろうが、人間であることには変わりがないのです。

この記事を書くためには、当局も暴力団もヤクザ雑誌の記者も公務員も写真家も海外の記者も週刊誌の記者とも接触してきました。各暴力団のトップや官僚から記事掲載の許可を受けておらず、許可を求めるような提灯記者でもないのです。

ヤクザを褒めている記事でもないし、その存在を否定していることでもないものです。単に言いたかったことは、「窮地に立たされた日本では、社会悪とされている一部のヤクザでさえ、善行を積んで被災者のために働いていますよ」と真実を語りたかっただけです。日本の任侠精神を米国人にも知らせたかったのです。見習うべきところがあります。

この記事を書くには、もう一つ主張したいことがありました。それは米国の「タイム」雑誌で指摘された通りに、日本政府の対応が鈍くて生活物資が被災者に回っていないのが現状です。生活物資を持って運ぶのはそう大変な問題じゃないです。ヤクザだってすぐ運べたものです。手続きを簡略化してちゃんとやればいいのに、できないか、やらないか、とにかく民主党政権が麻痺しています。民主党と比べたら、ヤクザの方がよっぽど緊急対応が良いものです。それも主張したかったのです。

この大変な時期に当局やマスコミや顔を気にするべきじゃないのです。苦しんでいる人を少しでも助けてあげるのが先決です。各関係者は日本人なんだから、「任侠道」はどういうものか、わかるはずです。外国人の僕なんか説教されるはずもないのです。その任侠精神を重んじてできるだけ多くの人を助けて不安を和らげるように頑張ってほしいのです。

災害支援活動を続けてください。当局も継続させてください。

よろしくお願いします。

語られない「震災」-復興を支援する「ヤクザ」達の存在を海外メディアが報道 – DNA

筆者・ジェイク・エイデルシュタインは元読売新聞の記者で、2006年から2007年まで米国国務省関連団体が実施した日本での人身売買実態調査を担当。現在、日本の組織犯罪についてのエキスパートであり作家・コンサルタントとして日本・アメリカを拠点に活動している。彼はまた、日本の人身売買と戦うワシントンD.C.の団体ポラリス・プロジェクトの広報ディレクターでもある。

本文

悪名高い日本のマフィアグループさえもが、今回の震災では支援活動を行ない市民の義務を果たしている。なぜ警察がこの事実を報道されたくないのか、ジェイク・アデルシュタインがレポートする。
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最悪の事態は時に人々の隠れた力を引き出す。それは日本の「負け犬」達、ヤクザであっても同様だ。最初の津波が襲って数時間後、彼らは行動を起こした。東京の事務所を帰宅難民達に開放し、食料や水、毛布を、かき集められるだけの2tトラックとその他の乗り物に載せて被災地に送り出した。地震の翌日には稲川会(1948創立の国内第3位規模のグループ)も、紙おむつやインスタントラーメン、電池、懐中電灯、飲み物、日用品を4tトラック25台に満載して東北に向かった。国内第2位の住吉会の幹部は、外国人コミュニティにさえ避難所の提供を申し出た。まだまだ外国人への偏見が残るこの国で、しかも右翼であるヤクザとしては極めて異例なことだ。日本最大のヤクザである山口組も入江禎組長の指揮の下、国中の事務所を開放し物資をトラックに載せて送り出した。しかしその出発は静かで、まったく華やかなものではなかったのである。

稲川会が今回活発に動いているのは、彼らが今回の被災地をルーツとする組織だからだ。彼らはいくつかのブロックに分かれて活動しているが東京ブロック支部は3月12日の夜から13日の早朝にかけて、ひたちなか市役所に50トンもの物資を運び入れたが、その際、受け取りを拒否されないように自分たちの身分を明かさないよう気を使ったという。これが彼らの人道支援の始まりだった。物資にはカップラーメンやもやし、紙おむつ、お茶、飲料水などが含まれていた。東京から自動車で12時間。しかも彼らは高速道路を使わず、下道で向かったのだ。神奈川ブロック支部は茨城と福島の放射能汚染地域に物資を届けるため、70台のトラックを送りこんだ。いったい何トンの物資を送ったのか記録には残っていないが稲川会全体で100トンを超える物資を東北地方に移動したとされる。彼らは防護服やヨウ素剤もなしに、汚染区域に入っていったのだ。

私が話した山口組の構成員は言う「とにかくできることをやっている、という以上のことを報道しないで欲しい。今は誰も私たちと関係を持ちたくないだろうし、支援物資を突き返されるのはいやだ。」

ヤクザに詳しくない人の中には彼らの慈善行為に驚く人もいるだろう。しかし彼らが人道主義を発揮したのはこれが初めてではない。1995年の阪神淡路大震災では、山口組は最も早い時期に態勢を整え被災地での支援活動を開始した組織の1つだった。むろんその物資を集めるために使われたカネは地域の人から巻き上げたもので、しかも人々はその活動がヤクザのPRになるとは気づかなかった。しかし今回の地震と同様、それらの物資を拒む者は誰もいなかったのである。

みかじめ料や脅迫、ゆすり、詐欺行為などを資金源にするヤクザという組織犯罪集団が、そのような市民的特性を持ちつのは一見不思議に思える。しかし、戦後すぐの時代から彼らヤクザは日本の秩序を守るのに大きな役割を果たしてきた。ロバート・ホワイティングの「Tokyo Underworld」やティム・ウェイナーの「Legacy of Ashes」によると、日本の赤化を防ぐためには、米国政府が、悪名高いフィクサー、児玉誉士夫 にさえカネを払った。その後50年以上にわたって日本を支配した自民党を設立する資金も児玉が提供した。オバマ大統領が昨年訪日した際、警察は東京のすべてのヤクザのリーダーと連絡を取り、問題を起こさずおとなしくしているように要請したといわれている。

ここではっきりさせておこう。いかに自制し、彼らのやり方で強盗やスリといった街頭での犯罪を押さえ込んでいるとはいえ犯罪者だ。日本人の中には彼らをたたえたり許容する者も多い。事実、40歳以下の人々のうち10人に1人が、ヤクザは必要悪で存在を許されていると奈良県警の調査で分かった。

警察とヤクザの間には災害の際、復興に手は貸しても宣伝はしないという無言のルールがある。震災の前、警察はヤクザを徹底的に締め上げていたので、ヤクザが英雄として脚光を浴びるのは実に都合が悪い。だからヤクザは静かに彼らの役割を果たすのだ。ヤクザは広報活動にたけていないわけではない。3冊の月刊誌、3冊の週刊誌のヤクザ雑誌もあるが、彼らに関する記事は、限られ注意深くコントロールされていることからも分かる。だが、今回は決して名前が表に出ないよう注意深く災害支援活動をこないしている。ある構成員は言う「今の日本にヤクザもカタギもガイジンもない。我々はみんな日本人だ。互いに助け合わなければいけない」

もう少し解説しておこう:警察が把握している指定暴力団の構成員は約8万人。証券取引委員会がゴールドマン・サックスを規制するように、警察もヤクザを規制している。彼らの収入の多くは、みかじめ料、用心棒、金融詐欺、株価操作、ギャンブル、脅迫、管理売春や債権回収で成り立っている。ヤクザという言葉は、花札のハズレの手である「8・9・3」から来ているという。従ってヤクザとは「負け犬」を指す。謙虚な定義だ。ヤクザは自分たちを暴力集団とは呼ばない。事務所や名刺や専門誌があり公衆に浸透している。3大グループの山口組(約4万人)、住吉会(1万2千人)、稲川会(1万人)はみな、ロータリークラブのような礼儀正しい任侠団体を自称している。

ヤクザ史研究者によると任侠道とは、人道・正義・義務を重んじ、他人が困っているのを何もせずに見過ごしてはいけないという哲学を指す。任侠道の信奉者は命を危険にさらし、弱者を助けるために身を捧げられることを求められる。ヤクザによれば「弱きを助け強きをくじく」ということだ。過去に後藤組の構成員に襲撃された映画監督の伊丹十三は、自身映画の中で、ヤクザは弱者から略奪し強い者からは逃げる存在だと強く批判した。おおむね彼は正しい。しかし今日の日本のように、ヤクザが古い流儀にのっとって活動することもまったくないというわけではない。

もちろんほとんどのヤクザは、めったに約束を守ることがない反社会的な人間の集まりである。しかし今のように誰でもよいから助けが必要なとき、あるいはほんの数週間、警察とヤクザが休戦し、日本の人々の安全を守り命を救うために協力することがあってもよいのではないだろうか。ある意味、警察は暗黙のサポートをヤクザの支援活動に与えていると言ってもいい。それが任侠道の精神だ。それは日本人の精神でもある。私が、日本人がこの災厄を乗り越え、より強くなって復活すると確信する理由だ。

私の友人であり情報源でもあった、故住吉会幹部の金子直也組長代行は言った「窮地に追い込まれた時こそ、男の真価がわかる」その意味を知るには男性社会で性差別主義者のヤクザによる「男性」の基準を知らなければならない。その中心にあるのは「義理」だ。あえて英語に直すとすれば「相互依存の関係」である。今日、一般人もヤクザも「義理」に忠実に生きているのである。

3 thoughts on “「ヤクザが災害支援活動」英文記事の和訳・お詫び (原文は3月18日掲載)”

  1. just wanted to say thank you for everything you are writing about the earthquake/tsunami/Fukushima situation. i’m living in Shiogama, northeast of Sendai, and it has helped me a lot!

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