安倍総理の”辞任劇”の真相。勇退ではなく訴追からの逃亡

この記事は米最大級のニュースサイト「The Daily Beast」(ディリー・ビースト) に8月28日掲載。日本語版に当たり有志の協力に感謝。なお原文の直訳ではないのでご了解下さい。

日本国首相・安倍晋三総理は8月28日、辞任を発表しました。健康上の理由とされるが、もう一つ、理由がある。劣悪で不健全な環境の刑務所暮らしを思って怖気づいているのだ。

記者会見で安倍総理は辞任の理由として潰瘍性大腸炎の辛い病状に言及したが、支持率が急落し、自らの関わる刑事事件の捜査が進む中での辞任である。それ以外の事件の再捜査を求める世論も高まっている。

安倍総理は辞任したのではなく、逃亡したのだ。

安倍総理は、公職選挙法違反で検察の捜査下にある。そして同様の公職選挙法違反で、安倍総理が自ら抜擢した前法務大臣(河合克行被告)は目下、東京地裁において公判中である。この公判では、安倍総理がこの事件にも関与していたことを示す証言も出るかもしれない。

辞任に追い込まれるまで刑事捜査の手から自分を守ろうとする安倍総理の骨折りは水泡に帰した。

ある自民党の重鎮が匿名を条件にデイリー・ビーストに語った。「安倍総理が検察庁に自分の選んだ検事(黒川弘務元検事)を送り込めていれば、今も権力にしがみついていただろう。安倍総理が警察庁の次期長官に選んだ中村格(元警視庁刑事部長)は今月になって候補を外されたから、安倍総理は検察にも警察にも検挙される可能性があると恐れている。辞任することで疑惑の目から逃れることができる」中村氏は安倍総理と親しいの伝記作家による強姦事件の捜査を打ち切らせた警察庁の高官である。

法務省の情報筋がデイリー・ビーストに語った。「手打ちがあった模様だ。安倍総理は『社会的制裁』に甘んじて辞任し、数々の刑事事件に関与する安倍総理への取調べは終わる」元特捜検事の郷原信郎氏は「安倍総理の関与が争点となるであろう刑事事件の公判が始まったその週に辞任するのは偶然とは思えない」と言う。

The Tweet of Defeat  (政権打倒のツイート)

同情を買うように辞任することで、「安倍晋三物語」は美談として語られるが、一冊の本でも読めばいかに腐敗した政権が一目瞭然です。

今年に入り、世論調査で安倍政権の支持率は27パーセントまで下がった。これからしばらく日本国内の報道では、なぜ安倍総理の権力掌握と世論の支持が衰えたのか様々に論じられるだろう。今年は確かに失態続きだった。安倍総理は五輪開催の願望に取り憑かれ、東京が安全だと見せるために新型コロナウイルスの脅威を無視した。各家庭に2枚のマスクを配るという政策は、マスクが足りないときに計画されたが、高くついた失敗に終わった。マスクは小さすぎて汚れており、配られるのも遅かった。このマスクは日本語でアベノミクスのように聞こえる「アベノマスク 」として嘲笑された。アベノミクスとは金融緩和と財政再建という想像上の「矢」から成る安倍総理肝煎の財政政策であったが、再建は成らず政策は完全な失敗だった。

安倍総理は日本の「検査しなければわからない」というコロナ対策が素晴らしく上手くいったと主張したが、その後この対策は失敗し、感染率は再び急増した。これはGo To Travelという間違った英語名の旅行促進キャンペーンの実施を安倍総理が頑なに推進したことで拍車がかかった。このキャンペーンは結局、感染流行が再燃して多くの人がGo To Quarantine (検疫へ)という意味になってしまった。

安倍総理の人気を損なったのはコロナウイルス感染症流行への対応の失敗ではなく、感染症流行の最中に自分の権力を固めようと試みたことだった。ツイッターでは数ヶ月前に#さよなら安倍総理 というハッシュタグがトレンド入りした。

安倍総理時代の終わりの始まりは5月のとあるツイッター投稿だった。日本の主要メディアをコントロールすることにあれほどの労力を費やした首相がソーシャルメディアによって引き摺り下ろされたのは皮肉なことだ。

5月9日の夜、35歳の会社員の女性のツイートが世論の異議申し立てに火をつけた。普段は政治に関わらない日本のセレブや元検事らによってツイートの嵐は激化し、自民党員さえも異議を表明した。

ツイートの内容は些か単調なものだった。しかしその「検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグで、5月14日までに800万ものツイートが投稿された。

ここに至る伏線はこうだ。

アベノミクスは失敗に終わり、大手企業が儲かり、庶民への「ドリップ」は無かった。

安倍総理は徐々に政府機関や公共放送のNHK、そして報道機関に統制を加えるようになった。2014年には内閣人事局を設置し、何百人ものトップ官僚の任命に内閣が権限を持つようになった。野心的な政府職員は注意深くなり、以来、安倍総理の機嫌を損ねず気に入られるように努めてきた。安倍総理は直接自分が頼まなくても公務員が醜聞をもみ消すよう奨励した。またメディアに飲み食いの接待をして機嫌をとり、気に入らないことがあると容赦無く締めつけてきた。日本の報道の自由ランキングは安倍総理が首相になった当時は世界22位だったが、現在では66位だ。

コロナウイルス流行が始まった頃、安倍総理と自民党は非常時に内閣が絶対的権力を掌握できるような憲法改正に向けて画策した。その動きは失敗し、保守系雑誌の『プレジデント』でさえこれを火事場泥棒のようなあざとさと書いた。この夏、安倍総理が検察庁を支配下に置こうとしたのは、やりすぎもいいとこだったのだろう。

Fatally Wounded  瀕死の重症

検察官らに対する動きは1月31日、安倍総理内閣が日本で検事総長に次ぐ検察ナンバー2である黒川弘務検事長の定年延長を決定したときに始まった。黒川は安倍総理および菅義偉内閣官房長官に非常に近いと言われていた。報道は黒川を「安倍総理政権の守護神」と呼んだ。

検察官の大多数は法によって63歳で退官するよう求められているが、黒川は留任を許された。安倍総理はこれについて、定年延長を可能とするよう法律の解釈変更を行ったので問題なしと説明した。野党や法学者に加え、世論もこれには猛反発した。

行政は一歩も引かなかったが、後になって検察庁法の改正案を提出した。これが黒川を留任させ、検事総長を交代させるための道を開くことを後付けで正当化する措置とみなされた。

松尾邦弘元検事総長ら検察OBは法務省に対し、意見書を提出し、その中で、今回の法改正は安倍総理政権が検察を政権の意のままに動く組織に改変させようとする動きであると明確に表明した。意見書は「法が終わるところ、暴政が始まる」というジョン・ロックの言葉を引用していた。

安倍総理はこの法改正案を国会で擁護し、「内閣によって恣意的な人事が行われるという懸念はあたらない」と述べたが、世論調査ではわずか16パーセントの人しかその言葉を信じなかった。

例によって安倍総理は、これまでの評判の悪い法制定の時と同じように法案を強行採決するつもりだった。

5月18日には、安倍総理内閣の支持率は34パーセントにまで急落した。同じ日に自民党はこの法案審議を延期することに同意した。

その夜、600人を超える弁護士らが、桜を見る会のパーティー開催に公的資金を不正使用したとして、安倍総理に対する告発状を東京地検に提出した。

安倍総理の拙い判断には不運が続いた。週刊文春が黒川が記者と明らかに違法である賭け麻雀を常習していたことを報じた。黒川は訓告を受け、辞表を提出して辞職を認められた。

8年近く政権が続き、安倍総理は思い上がり、昨年には国会で「私が国家ですよ」と宣言した。安倍総理は長い間勝ち続けているが、運が永遠に続く人はいない。検事らを堕落させようとするこの法改正の企ては、戦争映画の大作のタイトル『遠すぎた橋』をもじると「遠すぎた法案」ということだろう。この法案は後に丸ごと廃案となった。

Already on Trial?  すでに公判中?

安倍総理が直面する問題は現在行われている「桜を見る会疑惑」の捜査だけではない。

親しい友人であり支持者でもある人物の注目の公判に、安倍総理は引きずり込まれている。この6月、衆議院議員の河井克行被告(57)と妻で参議院議員の河井案里被告(46)は広島県で数百万円の現金を政治家や支持者に手渡した疑いで起訴された。これは2019年7月の参院選において票の取りまとめをした見返りであったとされている。安倍総理は2019年9月に河井克行被告を法務大臣に指名した。克行氏は10月31日に辞職した。

2人の公判は今週始まった。

自民党本部は河井案里の選挙運動資金として1億5千万円を提供しており、その一部は地元の政治家らが票の取りまとめをするよう買収するのに使われたのだろう。もし安倍総理自身が自民党総裁として巨額の資金提供を承認したのであれば、安倍総理は世間の注目を浴びるだろう。

元東京地検特捜部検事の郷原信郎氏はデイリー・ビースト紙に次のように語った。「河井夫妻の公判では安倍総理の関与が示されることは、検察側の冒頭陳述から明らかだ。安倍総理自身が抜擢した前法務大臣が他の政治家の買収に深く関わるというのは常軌を逸している。もし安倍総理が刑事責任を回避できるとしても、この件に関して道義的責任を負う。」

郷原は、安倍総理が首相の職に留まることができないのは、この公判に巻き込まれるのかどうか、巻き込まれるとしたらそれはいつなのか、分からないことのストレスも一因であると見ている。

安倍総理の足元では3番目の火種、すなわち森友学園問題もくすぶっている。2017年、9億5600万円相当と評価された国有地が右翼の学校経営者に1億3400万円で売却されたことが明らかになった。この取引には安倍総理首相と妻昭恵からの催促があったとされる。そもそもその学校は安倍総理晋三記念小学校と命名されることになっていた。

このスキャンダルが明るみに出たとき、財務省官僚は安倍総理関与を隠すために文書の改竄を行った。国家公務員の赤木俊夫氏は言いなりになることを拒絶して2018年3月に自ら命を絶って抗議した。赤木氏は告発文を残し、それを今年になって妻が公開した。日本の世論の70パーセント以上が森友加計問題の再調査を求めている。

He didn’t learn  安倍総理は学ばない

安倍総理はこの夏、記者会見や国会審議の一切を避けて事実上1ヶ月に渡って姿を消していた。そして今、安倍総理は自分を取り巻くスキャンダルについて論じることを容易に避けることができる。安倍総理は今週、汚職事件への自らの関与について質問が出ないように時期を見計って公然と病院を訪れた。安倍総理が河井夫妻の公判開始の前日である8月24日に慶應大学病院を訪れたことで、世間の注目は事件への安倍総理の関与から安倍総理が首相を続けられるかに移った。

安倍総理の大逃亡はカルロス・ゴーン前日産会長の高飛びほど劇的ではないが、勇敢な大奮闘だ。

安倍総理は日本の憲政史上最長在任の首相となったが、これほどの長期政権でこんなにも成果がないのは前代未聞である。もし安倍総理がなんらかのレガシーを残したとしたら、それは数々の評判の悪い法案を成立させ、それが今や地雷のように存在していて、いつの日か日本のはかない民主主義を吹き飛ばしかねないということだ。その中にはSF映画の『マイノリティ・リポート』から抜け出してきたかのような共謀罪法、報道と内部告発者を弾圧して黙らせるための、ジョージ・オーウェルの世界を思わせる秘密保護法、そして表向きは平和主義的な日本が戦争を遂行できるようにする安保関連法がある。

現安倍政権は2006年から2007年の惨憺たる第一次安倍政権に続く2度目の任期だった。安倍総理が返り咲くことができたのは、右翼の神道カルトである日本会議の支持によるもので、日本会議は安倍総理以後も末長く国会においても強力な威力を発揮し続けるだろう

歴史を忘れるものはそれを繰り返す羽目になる、と言われる。おそらく安倍総理の愚劣さの根源には、本人が有名な歴史修正主義者であり戦争犯罪者の孫であること、そして第二次世界大戦時に日本が行った残虐行為を決して認めることができないでいることが挙げられる。安倍総理が指名した政治家や仲間の多くがヒトラーを称賛していた。安倍総理は躍起になって過去を否定しようとしてきたあまり、自分自身の歴史からすら学ぶことができないようだ。だから安倍総理の人生は失敗の繰り返しにしかすぎないなのだ。

安倍総理は2007年に辞めた時とほぼ同じやり方で官邸を去る。自分の取り巻きがらみのスキャンダルに足をとられて政権運営が覚束なくなり、人気もなく、無能で的外れだとみなされて去るのだ。

惜しまれることもなく。

「晋ちゃん珈琲」は報道の自由・男女平等・人権・平等な社会などを大切にする人は毒。裕福な人及び晋ちゃんの友達に絶品。「美味しいコーヒー」は否めないが、日本社会の庶民なら後味が悪い

Abe-Japan’s Time Machine Back To The Nazi Era

Reviving Japan’s Imperial glory and rewriting history to exorcise Japan’s war atrocities has always been an Abe obsession. But teaching ‘Mein Kampf’ in the schools?  Modelling a new Japanese constitution after the Nazis?  Japan joins the roster of threatened democracies. (Originally published in May of 2017)

The recent article in The Daily Beast opens as follows: Imagine a world in which the Nazis and Imperial Japan won the second world war—that’s the premise of the critically acclaimed TV series The Man In The High Castle, which is science fiction. But as a matter of fact, the grandson of a war criminal, Prime Minister Shinzo Abe, seems intent on turning that dark fantasy into something more like a reality TV show. The premiere is scheduled for 2020, and he’s drawing on some classics for the scenario: Mein Kampf recently was approved for Japanese classrooms, and the suggestively titled Hitler’s Election Strategy is popular with some members of the Abe Cabinet.

…..In the summer of 2013, Deputy Prime Minister and Finance Minister Taro Aso, famous for his verbal gaffes declared in a speech to his political supporters, “Germany’s Weimar Constitution was changed into the Nazi Constitution before anyone knew. It was changed before anyone else noticed. Why don’t we learn from that method?”
Two of Abe’s Cabinet appointees were associated with Japan’s Nazi Party and several of his comrades wrote laudatory blurbs for a book called Hitler’s Election Strategy, published in 1994, and written by a member of Abe’s Liberal Democratic Party (LDP). The book was banned after international criticism.

Comparisons with the Nazis are hard to brush off if your Cabinet members are looking up to them as role models…..

For the whole article please go read this below. Under the link we will be posting a few more things to consider, mostly in Japanese

Japan: Shinzo Abe’s Government Has a Thing About Hitler. It Likes Him.

Comments are welcome, trolling not so much.

If you’d like you understand how the nazis rose to power, the following article by Peter Ross Range is excellent. How Hitler Seized Power and Shocked His Opposition.

Hitler did exactly what he said he would do. And Prime Minister Shinzo Abe and his Vice Prime Minister are doing exactly what they said they would do, change the constitution just like the Nazis did. And create the Imperial Japan that once ruled over the people without any democratic restraints or worries about “human rights”.

But Hitler surprised everyone by doing exactly what he had been preaching for more than a decade: turning Germany into an ethnically pure, nationalistically-driven economic machine for making Germany great again. And he thought he could do it fast.For that, Hitler had Hermann Göring and Joseph Goebbels. In 1933, they were not yet the monsters of history that they later became. But they were ambitious political operatives with a radical agenda and a charismatic leader. They acted with speed and force.The Abe Government Borrows From The Nazi Party↙

Here would be the modern day Japan rewrite of Mr. Range’s article:

But Abe surprised everyone by doing exactly what he had been preaching for many years: turning Japan into a Japanese first, Shinto-worshipping, Imperial and nationalistically-driven economic machine for making Japan great again. And he thought he could do it fast. For that, Abe had Cabinet Minister Suga, the right-wing Shinto cult,  Nippon Kaigi, and The Yomiuri Shimbun and a timid press core. In 2012,  they were not yet the monsters of history that they later became. But they were ambitious political operatives with a radical agenda and a charismatic leader. They acted with speed and force.

Below is a chart in Japanese of ways in which the LDP and Prime Minister Abe have stolen from the Nazi playbook. It’s not much of a surprise but the similarities are striking. Perhaps because the LDP really did learn from Hitler’s Election Strategy, a book written in 1994 by an LDP member, and blurbed with great praise by several past and present members of Prime Minister Abe’s Cabinet at the time it came out.

 

The Abe administration has several members who penned blurbs for “Hitler’s Election Strategy”. Abe also seems to be aping the Nazi political tactics.

 

 

Here are the key things Hitler did to consolidate power, as noted by, Mr. Range.

—let loose the police against Jews and Communists to a degree never seen before;

—won emergency powers to govern by decree following the incredibly well-timed February 27 arson against the Reichstag, Germany’s parliament building;

—begun the shutdown of dissent and diversity in German publishing and culture through a policy of Gleichschaltung, or forcing everybody onto the same page.

 

And here is what Prime Minister Abe and the Liberal Democratic Party are attempting to and have done

—let loose the police against dissenters, critics, and protests to a degree never seen before with the passing of the Conspiracy Laws this week (May 2017)

—win emergency powers to govern by decree in their new constitution as soon as they can find a suitable emergency (by 2020)

—continue the shutdown of dissent and diversity in Japan publishing and culture through a policy of Gleichschaltung, or forcing everybody onto the same page, passing a Special Secrets Act, and gradually crushing press freedom. (Japan was ranked #11 in the World Press Freedom Index in 2011 before Prime Minister Shinzo Abe took power. It is now #72).

Wiser men then myself said a few years ago that the much vaunted Abenomics was just a sexy smokescreen for Abe’s nationalist agenda–and like every great big lie, everyone has fallen for it. While the investors and true-believers of the world wait for the 4th arrow that will never come, Prime Minister Abe and his cronies are quietly getting Japan prepared for their vision of the 4th Reich.

Maybe it will be good for the economy.

 

 

 

The belligerent attitude of the Abe government to the United Nations resembles Imperial Japan ignoring international criticism for their actions in China.

 

日本の報道の自由度がタンザニア以下になったわけ *

日本の報道の自由度がタンザニア以下になったわけ * (2016年4月20日)

Originally published as “How Japan Came To Rank Worse Than Tanzania In Press Freedom” 

メモ・和訳は趣旨翻訳で、公式のものではない。後書きは元の記事に掲載されていない。

ジェイク・エデルスタイン(著者)

非営利団体「国境なき記者団」による新しい格付けによると、日本における報道の自由度は今やタンザニアを下回っている。日本は同団体による2016年度の報道の自由度指標において180カ国中の72位で、昨年から順位を11下げた。ヨーロッパの報道機関が今年最も自由を享受しているとされたが、アジア太平洋地域の大半で状況は深刻に悪化した。日本の記者にとって事態がおかしくなり始めたのは比較的最近のことだ。わずか6年前には日本の自由度は世界11位だったのだ。

国境なき記者団は180カ国をそれぞれの報道の自由度によって格付けした。以下は2015年度からランキングが最も下降した国々である。

2016年。報道の自由度が下がった国のワーストテン
2016年。報道の自由度が下がった国のワーストテン

日本の報道の自由がこうも不振なのは、世界を牽引する先進国の一つであることを思うとなおさら驚きだ。人口1億2500万を擁するこの島国は、世界第3の経済規模と、戦後の憲法が言論・報道及び集会の自由を保障する力強い民主主義政体を持っている。

「来月主要7カ国首脳会議を主催するという時に、報道への弾圧は日本の国際的な恥であり、日本を先進国から孤立させるものだ。」と、テンプル大学の史学教授でアジア研究学科のディレクター、また「現代日本:1980年代以降の歴史・政治と社会の変化」Contemporary Japan: History, Politics and Social Change Since the 1980s の著者でもあるジェフ・キングストンは言う。

2011年の福島原発のメルトダウンが報道の自由が衰退する下地を作ったとキングストンは言う。「日本のランクが下がったのは、メディアが福島のメルトダウンを十分に報道しなかったことと政府が事故を小さく見せようと努めたことに端を発している。東京電力(と日本)は原子炉が3機メルトダウンを起こしたことを2ヶ月に渡って否定した。残念ながら日本のメディアはこの茶番劇に共演。それというのも、日本では全て情報をもらえるかにかかっているからだ。統制に従わない報道機関は気づいた時には当局から干されている。福島の事故以来、歴史や憲法改正、安全保障の基本原則をめぐる日本の文化戦争(価値観の衝突)がメディアを舞台に繰り広げられてきたのだ。」

2007年に支持率が下がる中突然辞任した安倍晋三首相が、5年後の2012年に再び政権についたとき、政府は国内の報道の中に嗅ぎ取った偏向を取り締まり始めた。

当初、メディアは安倍政権批判をためらわなかった。麻生太郎副総理が日本は第二次世界大戦の前に密かにドイツの憲法を変えたナチスの手口から学ぶべきだと言ったことを激しく非難した。が、評論家たちは、麻生の提案がその後に起こることの前兆だったとも指摘。

2年前、安倍内閣は表向きは機密情報が中国やロシアに漏れることを防ぐよう設計された特定秘密保護法案を通した。しかしこの法案によって、ジャーナリストやブロガーが国家機密とされることについて質問することで、たとえそれが機密事項であると知らなくても最大5年間の懲役に処されうる。この法案が2013年12月6日に可決された時は何千人もの人がデモを行った。

安倍首相の友人で保守派の実業家である籾井勝人が2014年、日本の大手公共放送事業者NHKの会長になり、NHKの報道の独立性は弱まった。籾井は公式にNHKの報道は「日本政府とかけ離れたものであってはならない」と発言している。

首相の率いる自由民主党も先日、政府が「公益及び公の秩序に反する」言論を制限することができる憲法改正を提案した。

2015年6月には、自民党の議員らが政府に批判的な報道機関を罰し、企業がそうした報道機関に広告を出稿しないよう圧力をかけることを求めた。

今年、安倍内閣の総務相、高市早苗は「政治的な公平性を欠く」報道を行った場合、その放送局を操業停止にすると脅したが、放送法により高市にはその権限が与えられている。

その1週間後、安倍政権に批判的であった3人のテレビのニュースキャスター(古舘伊知郎、岸井成格、国谷裕子の3氏)が皆、その担当番組から消えた。

日本のベテラン記者たちは安倍政権が報道に圧力をかけていることを批判してきたが、同時に国内の報道において高まる自己検閲も非難する。「私にとっては、最も深刻な問題はテレビ局上層部による自己規制だ。」と日本で最も著名なジャーナリストの一人である田原総一郎は先月会見で語った。

「安倍政権によるメディアの独立性への脅威、ここ数ヶ月の報道機関における人事のどんでん返し、それに主要報道機関内部で高まる自己規制は日本における民主主義の土台を危機にさらしている」と国境なき記者団は今月発表された報告書において日本における報道の自由の衰退について結論づけている。

「報道の独立性は深刻な脅威に直面している。」と国連の「意見及び表現の自由」の推進と保護に関する特別報告者 デイビッド・ケイ氏は外国特派員協会で火曜日に催された会見で語った。「私や私のチームに連絡を取ってきたジャーナリストの多くが話をするに当たって匿名を希望した。その多くが政治家たちから間接的に圧力をかけられた後、第一線から外されたり沈黙を強いられたと話した。」

もともとケイ氏は昨年の12月に日本に招かれていたが、日本政府当局側が会合の日程調整が間に合わないと主張した後、急に訪日が中止になっていた。

ケイ氏は報道の自由を保障するため日本の放送法を改定するよう求め、日本の記者クラブ制度を報道の独立性を阻害するものであると批判した。日本では記者は記者クラブと呼ばれる業界団体や政府機関に置かれた報道機関の組織を通して取材を許される。記者クラブは門衛の役割を果たし、通常は週刊文春のような調査報道に秀でた週刊誌の取材を受け入れない。

「こうした記者クラブに所属する記者はもっぱら同種の社会ネットワークに専念しがちで、そのことが圧力を生み出す余地を与えるのだと思う。それは実に抗いがたい一種の同調圧力なのだろう。」とケイ氏は話した。

後書き:

清武英利氏(元読売新聞社会部次長・『しんがり 山一證券最後の12人 』の著者)の考察

もともと日本の「言論、報道の自由」は戦後に与えられたもので、日本の新聞人やジャーナリストが勝ち得たものではありません。しかも、戦時下の翼賛報道の反省も十分に行われないままに再出発しているため、「報道の自由」の基盤が脆弱で、個々の新聞人もまた覚悟を持たないまま今日に至っています。世情が左傾化すればそちらへ、右傾化すればなおさら右へと、覚悟のない記者や幹部がふらつき、政権に迎合して部数を獲得しようという新聞社が登場するのは何ら不思議ではありません。
 一方では、個々の記者の抵抗力が弱すぎるということも言えます。
 報道の大きな使命が権力の監視である、ということを忘れたり、失念したふりをしているヒラメ記者が山のようにいます。
 大手の新聞記者は、特権階級にあります。エスタブリッシュの一翼を担っていることを常に自らに問いかけることが必要で、権力に抗う姿勢を失った記者は、AI(人工知能)に置き換わる、単なる書き手に過ぎません。

 

*またこの籾井会長★の発言もある。「日本の立場を国際放送で明確に発信していく、国際放送とはそういうもの。政府が『右』と言っているのに我々が『左』と言うわけにはいかない」。

*和訳を提供したマミさんに感謝。

*Yahoo Newsの要約も要点を得ています。「自民党議員らによるメディアへの圧力発言や、高市早苗総務相が放送法4条を盾に圧力をかけ、古舘伊知郎、岸井成格、国谷裕子の3氏ら著名キャスターが番組を降板したなど、これまでの経由を説明した

★NHK内では「キモい会長」という愛称で呼ばれているそうです。